遺留分減殺の対象となる財産が複数ある場合についての質問です。父は,3年前,妹に対して結婚資金として500万円を贈与し,死亡の2年前には祖母に対して不動産を贈与しました。また,父は預貯金のすべてを内縁の妻に遺贈し,自動車については妹に「相続させる」との遺言をしました。父が死亡したときには,預貯金と自動車の他に財産は有りませんでした。相続人は長男である私と,妹のみです。私は,誰に対して,どのような請求ができるのでしょうか。

算定された遺留分の金額に従い,この金額に充つるまで,①内縁の妻に対する遺贈と妹に対する自動車の遺産分割方法の指定,②(父および祖母が贈与当時遺留分権利者に損害を与えることを知っていた場合であれば)祖母に対する不動産の贈与,③妹に対する結婚資金の贈与,の順に財産の取戻し(遺留分減殺請求)をすることができます(民法1033条,同1035条)。
遺留分減殺請求権の対象となるものの順序については,遺贈を減殺した後に贈与を減殺する,贈与については後の贈与から順次前の贈与に遡るかたちで減殺するものと定められています(民法1033条,1035条)。遺贈が複数ある場合には,遺贈の価額の割合により減殺することとなります(民法1034条)。なお,ここでいう「遺贈の価額」とは,原則的には相続発生時の遺贈財産の財産的価値を意味しますが,遺贈の相手方が遺留分を有する相続人である場合には,「遺贈の価額のうち遺留分額を超える部分」を意味します(最判平成10年2月26日民集52巻1号274頁)。
今回のケースでは,遺言によって,内縁の妻に対する遺贈がなされるとともに,長女に対して自動車を「相続させる」との遺言がなされています。判例によればこの「相続させる」旨の遺言は,遺産分割の指定であるとされ(最判平成3年4月19日民集45巻4号477頁),また傍論ではありますが,遺留分減殺請求の対象となると説示されています。ですので,内縁の妻への遺贈と長女への自動車の遺産分割の指定は,同順位のものとして,その価額の割合に応じて減殺をすることとなります(民法1034条類推)。もっとも自動車を贈与された長女も遺留分権利者ですので,長女に対する「遺贈の価額のうち遺留分を超える部分」と,内縁の妻に対する「遺贈の価額」の割合に応じて減殺しなければなりません。例えば,内縁の妻へ遺贈した預貯金が600万円,自動車の相続発生時の評価額が600万円,長男・長女の遺留分がそれぞれ300万円だとすると,長男としては,内縁の妻に対し200万円,長女に対して100万円まで,遺留分減殺請求をすることができます。
内縁の妻への遺贈,長女への自動車の遺産分割方法の指定について遺留分減殺請求をしてもなお遺留分が充たされない場合であれば,②祖母への不動産の生前贈与について検討すべきです。もっとも,遺留分減殺請求の対象となる遺贈は,原則として相続開始前1年間になされたものに限られ,例外的に当事者双方が遺留分の侵害を知って贈与した場合にはそれ以前の贈与も対象となるというように規律されています(民法1030条)。そうすると,祖母に対する遺贈は,相続発生の2年前ですので,当事者双方が遺留分の侵害を知っていたか,すなわち遺留分を侵害するという事実の認識が可能であること,将来において被相続人の財産の増加がないことの予見があることが必要とされます。このような加害の認識があった場合には,②祖母への遺贈について遺留分減殺請求をすることができます。
最後に③長女への結婚資金500万円の贈与ですが,これは特別受益(民法1044条,903条1項)にあたりますから,遺留分減殺請求の対象となりえ,上記①②によっても遺留分が充たされない場合には,この贈与について遺留分減殺請求をすることとなります。もっとも,特別受益に関しては,はるか昔になされたものであっても考慮対象となるため,場合によっては酷な結果となりえます。そのため判例は,時の経過により酷であるなどの特別な事情がある場合には遺留分減殺請求が認められない(最判平成10年3月24日民集52巻2号433頁)としています。今回の場合には,3年前という比較的最近の話であってインフレ等の影響も小さいですし,贈与当時には被相続人が裕福であったが,相続発生時には窮乏していたといったような事情もないので,「酷な事情」はなく,遺留分が侵害されている限り,遺留分減殺請求が認められると考えられます。

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